ゴイシツバメシジミとは

ゴイシツバメシジミをご存知ですか? シジミと言っても貝ではありません。シジミ貝のように小さい蝶の1です。ゴイシツバメシジミは、1973年に水上村の市房山で日本では初めて発見され、その翌年にこの山に棲んでいることが確かめられました。

日本は、蝶の研究が世界で最も進んでいる国の一つですので、未発見の蝶が1970年代に採集されたことは大変驚きでした。このように、当時から珍しい種類だったのですが、近年、熊本県外の産地(奈良県、宮崎県)では全く見つかっていないので、現在、この蝶が確実に棲んでいるのは、熊本県内の市房山と内大臣峡の2か所だけと言われています。とても数が少ない蝶なので、「文化財保護法」で国の天然記念物に指定されており、「種の保存法」でも国内希少野生動物種に指定されて厳重に保護されています。さらに、環境省のレッドデータリスト(絶滅の恐れがある種のリスト)では絶滅危類という絶滅が最も心配される種に指定されています。


分布:熊本県(かつては、奈良県、宮崎県にも分布していた)
発生:6月下旬~8月中旬
食草:シシンラン  
生態:幼虫はシシンランの蕾、花および若い実などを食べる。越冬隊は終齢幼虫

ゴイシツバメシジミ終齢幼虫

ゴイシツバメの食草 「シシンラン」について

 照葉樹林内の大木や岩に着生しているイワタバコ科の植物です。名前の終わりがランですが、蘭(ラン)の仲間ではありません。大木の幹や太い枝の表面にコケやシダの仲間と一緒に生えています。市房山でもシシンランが着いている樹は限られているため、なかなか気が付きません。

 葉のフチには鋭いギザギザ(鋸歯/きょし)があり、7月頃から枝先に白に近いピンフのラッパ上の花をつけます。本州中部以西から四国、九州にかけて分布しています。  

 なお、シシンランも環境省のレッドデータリストでは、絶滅危惧に指定されている希少種です。